書評『第2版 ドローン・ビジネスと法規制』

編者:森・濱田松本法律事務所 AI・IoTプラスティックグループ
編集代表:戸嶋浩二・林浩美・佐藤典仁 弁護士
ページ数:360ページ
判型:A5判/356頁
発行日:2022年1月31日

 初版から5年、航空法の大きな改正と相まって時宜を得た出版です。近年の航空法改正は次のとおりで、測量業務への適用においても運用を変更しなければなりません。
・2020年 無人航空機の登録制度
・2021年 機体認証・操縦ライセンス制度

 本書の構成は、次のとおりです。
第1章 ドローンを取り巻く環境・法規制
第2章 航空法
第3章 ドローンに関連する法律
第4章 ドローンを活用したビジネスと法規制

 なお、本書は書籍名に「ビジネス」と銘打っていますが、これはUAVをビジネスに使用にあたって必要となる法規制を執筆していることを意味しています。

 本書には、文章の曖昧がありません。弁護士の文章とは、こういうものかと感心させられます。やや冗長で読みづらさを感じなくもありますが、個々の解説がどの法規制に対するものかが明確で、丁寧に読めばドローンとそれを使ったビジネスに対する法規制を正確に理解することができます。

 本書では、航空法はもとより、無人機規制法、各自治体によるドローンの規制(条例)、他人の所有する土地での飛行(民法)、道路や河川等の上空での飛行(道路交通法、河川法、自然公園法、国有林野法)、撮影によるプライバシー検討への侵害への対応(個人情報保護法、著作権法、民法上の所有権)、電波法といった関連する全ての法律についても知っておくべきことが解説されています。

 航空法では、登録制度や飛行空域の制限、飛行方法の規制、捜査・救助のための航空法の特例、航空違反による罰則、許可・承認の申請方法、許可・承認の審査基準といった項目が、航空法の改正状況を踏まえて解説されています。
 さらに、事故を起こした場合の民事責任、刑事責任、行政上の責任等についても解説されています。

 本書では、UAVの活用場面ごとに関連することになる法規制が、20の場面で解説されています。
 その中の3つには「測量」というタイトルが付けられたもので、1番目と2番目、4番目に紹介されています。これを含め、測量業者が携わられるようなものは、8つあり、半分近くを閉めています。
 具体的には、事例1に「現地測量とドローン」、事例2に「他人の土地における測量とドローン」、事例3に「橋梁点検とドローン」、事例4に「土量測量とドローン」、事例7に「農薬散布とドローン等」、事例13に「損害保険の事故調査とドローン」、事例14に「災害時の調査・捜索とドローン」、事例15に「屋外イベントの撮影とドローン」です。

 これらの中で、例えば「現地測量とドローン」では、人口密集地区での飛行のあり方、山岳地帯での目視外飛行、低空飛行(人または物件から30m以内)への対応、自動操縦による飛行の審査について、根拠となる法規制を示しながら解説してあり、具体的に何に気を付けなければならないか、分かりやすくなっています。

 まさに、法規制について記載された本の完全版と呼ぶに相応しい書籍です。UAVを使うのであれば、一社に一冊は必須の書籍といえます。


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